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地面書道
   2005-06-21 13:17:37    cri
    ご存知のように、中国の首都北京市は、中国の政治的中心地だけでなく、歴史的遺跡が多いことで、観光地としても知られます。世界文化遺産に指定された紫禁城(故宮博物院)とか、天壇公園とかは地方や海外からの観光客が多く訪れますが、地元北京市民がよく通うのは、名前の知られていない多くの市内の公園です。

 上海などでは市内の公園に無料で入る場所もありますが、北京の公園は入場料がいるものの、3元、5元、日本円にして100円にもならず、中国の人々にとってもたいした価格ではありません。そして、経済的な「年間入場券」も発行されています。百元の年間入場券を持っていれば、指定されたすべての公園に入場することが可能です。これは本当に便利です。

 そのためか、年間入場券を購入して、毎日のように公園に通う年配の方々も大勢います。毎朝、公園でダンスをしたり、太極拳をやったりする年配の方々は、北京の見慣れた風景とでもいえるでしょう。

 公園で書道を楽しむ人もいますよ。えっ、紙や筆を公園にまでわざわざ持ち込み字や絵を書くのですか、といったら、そうではありません。いったいどんなことなのでしょう。

 北京の公園では毎朝、カラフルな扇やハンカチを持ってするヤンゴ踊りや太極拳、ダンスをする年配の方々が大勢集まってきます。みんなでトレーニング感覚で、おしゃべりを楽しみながら、友たちの輪を広げます。いまでは、新しいトレーニングの仕方というか、「地面書道」も現れました。

 というのはつまり、地面に書道をすることです。書道は従来、筆や画仙紙、それに墨が必要なはずですが、地面書道は、どんな形でやるのでしょう。特別に造った筆、と言っても、長さ1メートルちょっとの長い棒の先に、筆の穂先の形に整えたスポンジをつけて、それに水をつけて、セメントや煉瓦の地面に書くものです。地面に水がかかりますと、鮮やかに書が書けます。この地面書道こそ、北京の高齢者の間で最近流行り出しています。

 北京の西郊外にある公園、頤和園は清朝皇帝の夏の避暑地として知られ、世界文化遺産としてユネスコから指定されています。いつもは、海外や地方からの観光客で賑わうこの公園では、朝早くからトレーニングする北京市民が大勢集まっています。ここで、地面書道をしている周樹徳さんに出会いました。

 60になる周さんは地面書道を始めて今年で8年になります。ほとんど毎朝、周さんは小さな桶と、自ら作った特別な筆を持って頤和園にやってきます。木陰で、後ろへ下がりながら、地面に古代の詩を書きます。そのうちに、地面に綺麗な書が現れ、多くの観客を引きつけてきます。そして、水が次第に蒸発するにつれて、最初は鮮やかだった地面の字がだんだん薄くなり、最後に全部消えてしまいます。翌日に来たとき、また新しい地面の「紙」に書道をできます。

 周さんと同じように朝の頤和園で地面書道を楽しむ仲間は十数人います。地面書道の優れた点は何なのかと聞きましたら、皆しゃべりだしました。

 「地面書道はとてもいいトレーニングです。そして、非常に安上がりです。前から書道は趣味でやっていましたが、筆で画仙紙に書くものですから、あまり大きな字が書けません。それにコストも高いです。地面書道なら、こうした悩みはまったくありません。どれだけ大きい字でも、水さえあればいいのです。お金はこの大きい筆一本だけで、ゼロに近いです。」

 もう一ヶ所の公園、都心部に近い、玉淵壇公園を訪れました。ここにも20人以上の地面書道愛好者が集まっています。

 ある白髪の高齢者が注目を集めています。書道がうまいのはもちろん、使っている筆が皆と変わったものです。筆の上に、水を蓄える壷が付いていて、万年筆のように水をつけなくても、一気で多くの字を書くことができます。

    聞いてみますと、この方は連啓先さんです。連さんは地面書道暦、10年以上になります。この筆は、連さんが地面書道のために専門に開発した筆で、特許権を申し込んでいるところだそうです。

 このような筆を使って書道をする連さんは、いつも多くの人々の注目を浴びます。「私のところにこの筆を注文に来る人が少なくないよ、日本や韓国からの注文もありますよ」と、連さんは自慢そうに話してくれました。この筆を開発して、金を儲けようとするのではなく、地面書道が好きな人々のために便宜を図るためだと、連さんが本音を語りました。

「高齢者の数が多くなっています。こうした人々は、なにか楽しみがなければ、幸せに暮らすわけがないと思います。地面書道は体も鍛えられるし、精神的にいいですし、お金も余りかかりません。」

 地面書道の愛好者同士は、書道をしながら、おしゃべりをも楽しんでいます。仲間と一緒にいるからか、明るくて心が開かれ、見物人で地面書道をやってみたい人には、快く筆を借してあげ、さらに、初心者に指導をすることもあります。地面書道は年配者が社交の輪を広げる手段ともなったのです。

 北京では地面書道の愛好者が増えていて、これは、北京の公園ならではの風景になっています。地方から北京観光に来た池さんは、この風景を見て感心したそうです。

「とても好きです。羨ましいね。北京ならではのもので、私の町でも出来るといいなあ」

 遠く韓国から来たキム・オンジュクさんが書道の愛好者です。北京の中心部にある景山公園で中国の地面書道に出会いました。

「私の家には韓国の書道家の作品が飾ってあります。ここの方々が書いた字とよく似ているようです。本当に書道のうまい方ばかりです。韓国の高齢者は登山やランキングをやりますが、ここは書道や、凧揚げを良くやるのですね。みんなのんびりしていますね」

 それでは、地面書道を公園側がどう見るでしょうか。極少ない水しか使わないので、環境にやさしいため、公園の管理者は大歓迎だそうです。地面書道に来る人々は来る前に、その場所をきれいに掃除しておく公園もあります。頤和園の管理係りの郭さんは次のように語っています。

「地面書道はとてもいいことだと思います。本人が体を鍛え、書道も上達することができます。それに、見る人にとっても楽しいじゃないですか。」

 とはいうものの、冬の寒い北京ですから、氷点下に冷え込んだ日には、書いた書道がそのまま氷になってしまって、地面が滑りやすくなるから、この期間だけ、戸外の地面書道を遠慮した方がいいという人もいます。

 地面書道が高齢者の間に流行りだしたことで、新しい書道の形として専門家から注目されています。北京のある書道クラスの先生に聞いたところ、書道の勉強のために、アメリカやドイツ、フランス、日本、韓国から来た生徒たちは、中国の伝統的な書道のほかに、新しい地面書道にも大きな興味を持っているそうです。

 地面を紙に、水を墨にする地面書道は、トレーニングと書道を結びつけ、環境に優しく、そして、非常に経済的だと、利点を挙げますと多くあります。

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